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「章、蔑んだ言い方するな。キ〇ィもキ〇ーピーもめっちゃ可愛いじゃねえか」
相変わらずの俊也は可愛いもの好きのようだ。
「それとも何か? 章は、ご当地グッズに恨みでもあるのか?」
俊也が訊くと
「敦ちゃんが、旅行行く度にお土産にくれるんだ。なんかもう呪われそうなくらい家の押し入れにあるよ」
「敦のお土産は、押し入れの中なのか? ……可哀そうに」
決して敦にではない。多分、キテ○や○ューピーへの憐みの気持ちだろう。俊也が哀しそうに呟いた。
「それ、小学生の頃の話だろ? そういうの暴露するのやめろよな!
そもそも章が『お土産は、そこにしかないものがいい』って言うから、悩んだ末にご当地キーホルダーシリーズにしたんじゃないか」
「意外だ。梅木家は国内旅行派なんだな」
俊也が言うと、
「違うよ、俊ちゃん。ご当地キ○ィは、海外にもあるんだよ」
「マジか」
「コンプリート間近だろ? 感謝しろ!」
お土産のセンスを問われ、敦もムキになって言う。
「ああ、もう! 店の前で騒ぐなって。気付かれるだろ?」
「気付かれる? 誰に?」
敦に言われ、慌てて知己は
「あ、いや……何でもない」
とお茶を濁した。
「まあ、いいや! じゃあ先生、あっちの自販機でキャラメルマキアート奢ってね!」
「それ、絶対に自販機に売ってないと思う」
指摘する俊也だが、彼の希望の長い名前のものも、自販機では売ってなさそうだ。
「俺も先生が奢ってくれるんなら、自販機でいいや」
と、アッサリ寝返った。
「え? ……そ、それじゃ、二人がそれでいいって言うんなら、俺も……」
最終的には敦もなびいてきた。
(なんだかな……。こいつらの引率って……疲れる)
去年も門脇達に付き合って、オープンキャンパスなど引率に付き合わされたが、その時とずいぶん違う印象を受ける。
やっと話がまとまったので、神社脇の自販機前のベンチで4人は休憩し、解散した。
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