初詣 3

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「答えられない……ということは……!」  勝手に悲壮感増している将之に 「待て、待て、待て! お前、絶対になんか勘違いしている!」  慌てて知己は制した。 「していません」 (なぜ、こうも自信満々に言い切れるんだ?!)  苛立ちを滲ませて知己が将之を睨むと 「ふうん。先輩から言う気はない……と」  どこまでも悪意で将之は解釈していた。 「いいでしょう。そんなに先輩が言いたくないのなら、僕が代わりに言ってあげましょうか」 (何なんだ、こいつ?)  探偵ものの本か何に影響されているのだろうか……と知己は自分の置かれている状況を忘れて、将之を見つめた。 「まず、お昼ご飯です。カップラーメンを食べた……ということは、先輩は昼に急いで出かけなくてはいけない用事ができた。もしくは出かける直前まで、休みだからって惰眠をむさぼっていたってことですね」  人差し指をびしっと立てて将之が言う。 「全部、違う」  冷静に否定すると 「え。全部?」  驚く将之が、困ったように指を引っ込めた。 「うん、1mmも掠ってない」 「えー……っと、まあいいか」 (いいのか?) 「続きです」  咳ばらいを一つして、将之は続けた。 「昼食を取った後、先輩は新しい学校での門脇君的な存在を初詣に誘った……これはどうですか?」 「門脇的な存在?」 「門脇君的存在……つまり、異常なまでに先輩をマンセーしているイケメン君。しかも3名」 「……」 「黙るということは当たっていますね」 「いや、俺から誘ったというのは違うけど」 「じゃあ、半分当たりか」 (なんだ、これ。めんどくさいな……)  ほぼ当てずっぽうな将之の推理に付き合うのが面倒になってきた。  だが (ん? 3人?)  急に具体的な数字が出てきて、知己は訝しんだ。 (もしかして、こいつ……!) 「初詣に行った神社は、恋愛成就で有名な神社……ですよね?」 「それは当たり」 「やはり。すべての謎が解けた。真実は、ひとつ」  将之が満足そうに色々な決めセリフを言った。  ただこの段階で当たっていたのは、初詣の神社の得意分野と行った人数だけだが。 「……っていうか、将之。お前……」 「もちろん、気付いていたに決まっているでしょ? あんなに騒いだら、誰だって分かりますよ」
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