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将之は目の前の知己を「よいしょ」とかけ声と共に両手で担ぎ上げた。
姫抱っこってやつだ。
「……(たまには、いいか)」
男として横抱きされるのは多少なりとも不本意であるが、先ほどの将之の笑顔を曇らせたくなくて知己は甘んじて担がれた。
将之は嬉しそうに、複雑そうにしている知己の顔を見ながら、ベッドへと運ぶ。
「あの神社の御利益、早速ありましたね」
「え?」
「僕と先輩の幸せを祈ってくれたんでしょ?」
何か曲解されている気がするが。
「恋愛成就の神社でしたよね?」
この場合、それが当てはまるかどうかは謎だが。
「……こんなんで誤魔化されるって、もしかしてチョロいのでしょうか、僕」
「自分で言うな。そして、俺は誤魔化してなんかいないぞ」
やはり今年も将之の言動にはツッコミどころ多すぎだな……と知己は感じていた。
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