吹山章の独白その2「勉強会」

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「じゃあ、次の問題を出すよ。しっかり考えて答えてね」 「「おう!」」  なぜか敦ちゃんも身を乗り出していました。  そこに 「知己ー!」  いつも先生にベッタリの鬱陶しい英語教師がやって来ました。  いらり、その2。  正直、僕はこいつが気に入らない。  こいつは文化祭でも先生と一緒に色々画策したみたい。  先生は前の学校からの仕事仲間というけど、それでも職員室でよく喋っているみたいだし、廊下でもよく一緒に歩いているし、普段からベタベタし過ぎだろうって感じです。  先生にベッタリかと思えば、いきなりゲームで敦ちゃんを指名して終わらせた変な運の持ち主。僕の気のせいじゃなければ、敦ちゃんにもよく絡みたがっているヤな野郎です。 「Ms.坪根が探していましたよ。知己に出張旅費が出ているとかで取りに来てほしいそうです」 「え? 本当? 急いで事務室行かなくっちゃ」  いらいらいらり。  そういえば、先生。あの事務の先生のこともやたらと気にかけているよね。春先には庇ったり(※1)、文化祭でもつるんでたし(※2)。夏休みにもデレデレしていた所(※3)を見かけたぞ。それもムカつくなぁ。 「好きなの?!」  思わず僕は先生に背を向けたまま訊いていました。  僕のちょうど正面にいるのが俊ちゃん敦ちゃんだったので、その二人に言ったかのようにも見えました。それで俊ちゃんが 「全然好きじゃない。社会、大嫌い」  と言い、敦ちゃんは 「す……好き……かも……」  めちゃくちゃか細い声で答えていました。 (社会好きなら、首都間違うなよ!)というツッコミは、とりま、置いといて。  さっきの言葉は先生にとって石化の呪文だったようで。  理科室を出て行こうとした姿勢のまま、先生はカッチーンと動きを止めていました。 「あ、あ、まあ……、その同僚としてだな」  その後、真冬だというのに滝のような汗。 (あ、これ、ビンゴだ……)  そう思ったら、僕は 「じゃあ、あの人は何?!」  と立て続けに訊いてました。 「「あの人?」」  英語教師と先生が一緒に首を捻っていました。 「カフェに居た教育委員会の人だよ!」  と言うと、先生は 「なんで知っているー!?」  と叫びました。 「吹山君……、会ったのですか? あの意地悪Masterに」  英担(英語担当教師)も、驚いていました。 「え? あの人、意地悪なの? そこまでは知らないけど」  というか、僕が気付かないとでも思ったのかな?  それはそれで腹が立つんだけど。 (※1)春先に卿子、知己に庇われていましたhttps://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=23 (※2)文化祭ではつるんでいましたhttps://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=237 (※3)夏休みには知己がデレているように見えたようですhttps://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=112
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