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とにかく―――先生がやたらにカフェに入りたがらなかった理由。先生はうまく誤魔化せていると思っているけど、僕は中を見てすぐに分かりましたよ。
あの地味な黒スーツのメガネの人。
どこかで見た顔……と考えてたら、思い出しました。
(文化祭でも同じような格好していた喪女じゃないか。嬉しそうにラノさんに扮した先生と一緒に写真撮ってたぞ)
僕、そういう記憶力いいんだよね。
気になったんで、学校始まったらすぐに調べました。
そしたら、文化祭で来ていた来賓の教育委員会の人だっていうじゃないですか。
(そんな人に一目惚れ?)
僕らと一緒に仲良さそう……仲良かったかどうかはよく分からないけど……にしている所を見られたくなかったってことは、あの人の事、好きってことだろ? 生徒と一緒にチャラチャラ(?)している所を見られたくなかったってことだろ?
(ああいう地味で真面目な人が、先生の好みなのかな……)
そこで、考えました。
俊ちゃんは全然タイプじゃない。僕もそうだ。
だけど、敦ちゃんは違う。
黙ってメガネをかけてたら一気に地味オーラをまとう清楚美人。まっすぐな黒髪。権力や財力でねじ伏せてもいいのに……と僕が思うほど、「校則」や「学校の指示」通りに動いている真面目といえば、真面目な性格。まあそれが不服で嫌がらせゲームなんか考えだしているんだけど。それだって規則のグレーゾーンでやっているんだから、やっぱり、真面目なんだよね。
(そっか。僕、敦ちゃんに妬いているんだ……)
敦ちゃんは先生に撫でてもらった。(※1)
敦ちゃんは先生にハグしてもらった。(※2)
僕は、それを内心めっちゃ羨んでいるんじゃないかな。
……。
やだな、こんなこと考えたくない。
(……よぉっし! 一日お付き合い券で、先生に撫でてもらってハグしてもらおう!)
決意を新たに俊ちゃんを睨みました。
「ひぃ! な、なんだ?」
俊ちゃんにはこれから地獄(?)の猛勉強です。
「あの……? 章……?」
先生があからさまにオドオドと声をかけました。
「先生は、早く事務室行ってきて」
決意、鈍らせないでよ! 僕はこれから俊ちゃんをビシバシ鍛えるんだから!
(※1)敦、知己に撫でられたhttps://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=80
(※2)敦、知己にハグされたhttps://estar.jp/novels/25782664/viewer?page=154
知己ったら、セクハラ教師ですね・・・
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