知己を自由にしていい一日 2

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「で、今日はどうする?」  キャラメルマキアートを一口飲み、章が尋ねた。 「この後か?」 「うん」  言ってみれば知己は約束のキャラメルマキアートを奢った。今日の用は、もう済んだのだ。 「イチゴ大福買って、家で一緒に食べる」  章に問われるままに答えた。  さっさと家に帰って、将之と一緒に甘味でも食べて仲直りしたい。 「え? 家?」  章が一瞬驚いたような顔をした。 「なんだよ?」  文句でも言われるかと知己は身構えたが 「突然のイチゴ大福にびっくりしたけど、分かる。甘すぎず、いちごの酸味がいいよね。僕もイチゴ大福好きだから、先生がそうしたいと言うならそれでいいや。それよりも、おうちに招かれるなんて思わなかった。初詣の時は全力で拒否ってたから、嬉しい。ありがとう。それも僕が頑張ったご褒美?」  むしろ章は嬉しそうに微笑んでいる。 「え? ちょっと待て。どうしてお前がうちに来るんだ?」 「ちょうどいいと言えばいいよね」 「何が、ちょうどいいんだ?」 「だって、僕、今日の予定は……先生に抱いてもらう予定だったし」 「ぐ! ふっ、ほぅ……っ!」  章の発言に、知己は壮絶に咽た。 「わ、大丈夫?」  慌てて章は知己の方に回り込み、背を擦る。 「章がっ、変なこと、言うからっ……げほげほっ……気管に、入った……げほげほほっ」 「え? 僕? なんか変なこと言った?」 「言った……げほっ」  いまだに気管に入った不快感が拭えずに、その後も数度咳き込んだ。しばらくすると、なんとなく収まったようなので章は元の位置に戻った。 「で、何の話してたっけ?」 「……お前が俺に抱……、抱……、言えるか! 大人をからかうのもいい加減にしろよ」 「あ、その話ね。まだあるよ」 「まだ、あるのか……けほっ」 「咳、出るね」 「衝撃の章の予定だったからな」 「それだけど、僕の予定では、後、先生に僕の頭を撫でてもらうつもり」 「げほんげほんっ……なんでだ?」 「ご褒美」 「ご褒美が過ぎるだろう」  一体、章は何がしたいのだろう。  大体、もう用は済んだ筈だ。もう帰りたい。帰らせてくれ。  そう知己は思ったが、章の方は全くそうは思っていないようだ。
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