ゲーム 開始 1

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ゲーム 開始 1

「家永、どうしよう。俺、いじめに遭っている」 「あ? それ、蓮様のおかげで解決したんじゃなかったのか?」  5月の第三土曜日。  将之命名「月一逢瀬」もしくは「”月一”大っぴらに浮気ディ」で、知己は家永に溜息まじりに報告した。  事態は深刻だ。  以前の大喜利のような授業の方が百万倍マシだった。  今の事態をさすがに何とかせねばと思ったが、将之にだけは言えないと思った。 (あいつは……言ってみれば、モンスターペアレンツの逆バージョン。教育委員会の権力を笠に着て、何をしでかすか分からない)  それで同僚のクロードに相談したが 「あれはgameですよ。知己が当てたらgame over」  と謎の言葉をはいた。 「ゲーム?」  家永が眉間に皺を寄せる。 「イジメがゲーム? 不届きだな」  不愉快さを隠しきれない。 「脅されるとか、悪口を言われるとかじゃないんだ」 「?」 「確かにゲーム的なルールある何かをされているのだと思う。だけど、それをやめさせたい。授業にならないんだ」 「一体、どういうことをされているんだ?」  家永は皆目見当がつかずにいた。  前の理科担当が早々に異動希望を出したのは、特別教室棟にくる彼を煙たがった章たちが半裸にして嫌がらせをしたのが原因だった。それ以降、彼は章たちを恐れ、特別教室棟に寄り付かなくなった。  今回、それこそ「蓮様」が 「今後、俺の先生に手ぇ出したかったら好きにしろ。その代わり、その後で俺がきっちりその画像を保存した後でお前らをはっ倒す」  というわけの分からない脅しのおかげで回避することができた。  俊也が 「その前にネットに流したら?」  と無謀にも言ったが、門脇が 「安心しろ。お前らを先生と同じ目に遭わせた後に俺もネットに流してやるから」  と鬼の微笑みで言ったので、俊也達の嫌がらせは完全に封じられた。  章に至っては、そんなことする気もないらしい。 「蓮様の先生にそんなことしませんし、させません!」  目をハートの形にして全力で主張し、少しでも門脇に好かれたいと振舞っていた。  それで数日は、平和な日々を送れるようになっていたのに、それはある日突然始まった。
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