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すると神妙な顔をしてライオも
「もちろん生徒だけではなく、教師にもペナルティはある。しかも生徒以上の、ね。多分、懲戒免職」
と暗い顔して告げた。
「教師の処分に詳しいんだな、ライオさん」
「まあね。でも、それだけじゃない。
こういうゴシップ性強いものなら新聞沙汰だってありうる。マスコミは教員・議員・警察官・公務員系が大好物だからね。そうなれば、僕の見守る彼は御先真っ暗。それは避けたi……あ、でもそうなると僕が囲って暮らせばノー問題か」
似たような事を章も言っていたなと二人は思った。
(もちろん、そんなことになったらマヤさんが黙っちゃいないぞ)
あの章の母親のことだ。息子のプライバシーは18歳未満だから上手にしかもとことん隠すだろうけど、相手の教師は槍玉に上げずに済ますとはとても思えない。
敦の脳内に次々と恐ろしげな週刊誌の見出しが浮かんでいた。
「ライオさんが後半何を言っているのかちょっと分かんなかったけど、要するに二人の恋はNGなんですね?」
章と同じ生徒という立場だということを忘れて、俊也が訊く。
「そういうこと」
頷くライオに
「……そんなの絶対にヤダ」
ポロリと呟く敦。
「敦、とうとうお前も……?」
俊也が「またもやライバル出現」という懸念よりも、普段「あんな悪徳教師のどこがいいんだ?」と言い続けた敦が、いよいよ知己になびいたことを面白がっている。
「違う。あのセクハラ教師のことは何とも思っていない。むしろ、あいつが俺の前から消えてくれるのは望むところだ。だけど章が困るのは嫌だ」
「……ふーん。そうかー。そうかー。とうとう敦も……」
敦が言えば言うほど、(強がって言っているけど、お前もこっち側の人間だったんだな。素直になれよ)みたいな視線を向けてニヤける俊也に、
「いったー!」
敦の渾身のパンチが顔面に炸裂した。
「静かにってば!」
ライオが敦の打ち抜いた後の拳を押さえると
「よし、全力で阻止しましょう!」
何事もなかったかのように、敦はライオに意気込みを語った。
「……頼もしいね。今日は三人協力して二人の道ならぬ恋を邪魔しよう」
とライオが言うと
「「了解」」
敦と俊也がライオに敬礼をした。
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