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「よし! あの二人の間に乗り込もう!」
最後は、ただの力技だった。
「「……それだ!」」
何の捻りもない荒業に、俊也と敦は藁をも掴む思いですがった。
「敦君、俊也君! 偶然を装って邪魔をするんだ!」
「「了解!」」
おもむろに敦が、わしっと猛禽類が獲物を掴むかのようにライオの腕をとった。
「行こう、ライオさん! 三人で突撃だ!」
「……え? 僕?」
(……僕が先輩と顔を合わすの、まずくない?)
途中でさすがにやばいと気付いて18禁ワードをあれでもできるだけセーブしたつもりだが、時すでに遅し。
美少女少年メガネっ子・敦は分かり過ぎるほど分かっているようだけど、つり目君の俊也は、開けるにはまだ早い扉をいくつかこじ開けてしまった気がする。
こんなことしたのが、知己にばれたら大変だ。
(というか、そもそも先輩が18禁行為しようとしているのが悪いんだけど)
かといって、自分が不利な状況に追い込まれたくはない。
「あ、ごめん。僕は、ちょっと……」
と二人に任せようとしたが、テンパった敦には、この期に及んでヒヨったようにしか聞こえなかった。
「何、言ってんですか!『突撃も みんなですれば 怖くない!』
行きますよー!」
ダメな交通標語みたいなことを言って、敦はライオの腕を掴んだままホテル前の二人に突撃をかました。
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