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★いけないリップスティックマジック
「ちょ、将之。何、これ? 痛いんだけど……?」
寝入りばな、突如、段ボールをまとめる荷造りビニール紐ソフトタイプで知己は後ろ手を縛られた。
あの後、イチゴ大福に濃いめのお茶ですっかり機嫌が治ったようだったからすっかり油断していた。それまでは、夕飯→お風呂→TV観た後、時間になったので就寝。いつもの生活パターンだった。
「痛いのは、こっちです」
「はあ?」
「僕の心は、滅多刺し」
「意味が分からねー。というか、お前のやったことの方が酷い。俺の教え子と分かっていて巻き込みやがって」
「教え子に手を出す方が、意味が分からない。先輩の本命は『おしゃべり君』だったんですね」
(おしゃべり君?)
しばらくして、章のことだと気付いた。
「メガネ君、つり目君、やたらに先輩と喋りたがる『おしゃべり君』。この中に本命がいるのかな? 誰だろうってずっと思ってたんです」
「おい。俺はそんなに飢えちゃいねーぞ」
「あれだけのことをしておいて、よくそんなことが言えますね」
そう言って、ずるりっとオーガニックコットンの肌触りが気に入っている知己の生成りのパジャマのズボンと下着を一気に下ろした。
手を縛られているものだから、抵抗のしようもない。
「おい!」
この男がおとなしく布団に入ったと思えば、これだ。
知己がまどろむ瞬間を待っていたに違いない。
「DKが想像できないような、大人のお仕置きの時間の始まりです」
身の危険を感じてぴっちり閉じた知己の膝頭を片方ずつ掴んで、将之は悪魔の笑顔をたたえて見下ろした。そこには昼間の、敦でさえ信じ込ませた柔和な笑顔はどこにもない。
「ふざけんなー!」
叫ぶ知己を無視して
「彼の好きなマウントポジションですよ。見下ろされるご気分はいかがですか?」
強引に膝を割っていく。
体格差もあるのに、将之のいうマウントポジション。
「う……、くっ……」
自分の脚が将之の腕力に負けて、徐々に開いていくのを恨めし気に知己は見ていた。
知己の脚の間に体を強引にねじこんで、足を閉じられなくする。
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