卒業式の再会 4

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「その場のノリで『聞かれたら正直に話す』って言っちゃったんです」 「お前、ノリで話をするな」 「って言っても、まあ、普通は聞かれませんよね」  将之はクルリと向きを変えた。 「僕らがこういう関係かなんて」  正面になった知己の顎を捉え、そのまま頬に、ちゅっと音を立ててキスを落とす。 「……ぅ」  不意打ち食らって、知己は思わず唇を尖らせた。 (なんか色々狡くないか?) 「おや、唇が良かったですか?」 「そういう意味じゃない」 (打算的だ)  聞かれることのない質問なのに。  彼らの聞きたいこと全てに正直に答える『正直者』を装うなんて。  章達とは、一年かけて真っ当な会話(かどうかは甚だ自信がない)ができるまでになったのだ。これを水泡に帰すようなことだけは、やめてほしい。 (というか、俺は一年かかってやっとここまで来たのに、こいつはたった1日……いや数時間であいつらと仲良くなったんだよな……。やっぱり、こいつ。狡い) 「言っとくけど。お前、あいつらを甘くみてたら痛い目見るぞ」  じろりと将之を睨む。 「甘く見てないから正直に話すことにしたんですってば」  何だか、会話がループしている気がする。 「先輩の方こそ気を付けた方が良いですよ」 「何を?」 「敦君が可愛いからって、彼ばかり贔屓するのは見苦しいかと」 「そんなことはしてない」  何故か知己の近くに居るのが敦だった。他意などない。 「たまたま、あいつが近くに居ただけだろ」 「ナチュラルえこひいき」 「してないってば!」 「……僕は誰とも仲良くして欲しくはないんですが」  と前置きして将之は提案した。 「先輩がややこしいのを避けたいなら、とりま敦君以外、俊也君や章君とも手を繋いだらどうなんです?」  口角上げる感じ意地悪い微笑みに (悪意を感じるな……)  と、鈍い知己でさえ純粋な意見ではなく、嫌味だろうと感じ取れた。  多分、自分が来るまでに章達が何か将之に言ったのだろうと思われる。
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