ゲーム 開始 2

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 それで章が 「あーあ、ダメだなぁ、俊ちゃん。ばらしちゃ」  追い打ちをかける。 「はぁ? 俺ぇ!?」  今度は俊也が驚き、声が裏返った。 「俊ちゃんがわざわざ言うから、『当たりを引いたらいい』ってバレちゃったじゃない」 「俺か?!」 「いい? 巡り悪い平野先生だよ。俊ちゃんが『ネタバレ』って言わなきゃ絶対に分かんないのに」 「お、俺の所為かー?!」  グレーだった章の言葉をクロと確定したのは、俊也の言動。 「……そういう事になるよねぇ」  残念そうに言いながら微塵もそうとは思ってなさそうな章は、よいしょっと掛け声をかけてコンテナを教師机に置いた。俊也に背を向けた状態で、知己にウィンクを送った。当然、背後の俊也には気付かれてない。  もっとも、俊也の方はそれどころではなさそうだ。 「お、俺が教えちゃったことになるのか……?」  オドオドとして顔も青ざめている。知己たちの様子にまで気を配れないようだ。 (あ。今の……もしかして、ヒントか!)  俊也はこの経緯を喋れない。  喋ったら、俊也が「当たりを引けばいい」とヒントを出したことを露呈してしまう。 (当たりを引く……)  章の言葉が頭の中で響く。 (そして「指名はしちゃダメ」) (……つまり、当たりの「誰か」を指名しろ……ということなのか。それで、このくだらないゲームが終わるのか)  とはいえ、やっとこの意地悪な授業妨害ゲームのルールが分かった段階。 肝心の「誰か」には、まったくあてがない。 「まあ、よーく考えてみたら?」  章は明るく、そう言った。
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