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第一関節までしか入らなかったそこが、出し入れを繰り返すうちに徐々に深く沈められ、もう指は根元まで入っている。
「は……っ、ぁ……」
同居して3年になる。
それは将之の求めに応じ、受け入れる場所ではないそこに受け入れるようになった年月と等しい。その月日の間に自然と身に付けた呼吸で体の苦しさを逃がす。
「あの子、全然、分かってなさそうですよ」
そう言って、将之は何気なくぐるりと中で指を半転させた。
「……っ!? あ、ぁぁぁぁっ……!」
不意に内部の敏感な部分をこすられ、知己が声を上げた。
将之は、ゆっくりとした動きに変えたが
「……うぅ、……ぅ……」
じわじわと先ほどの余韻が押し寄せているのだろう。知己は震えながら、抑えきれない声が漏れていた。
「あ……。も、……ゃ」
将之がずっと後ろを弄るので、絶えず圧迫される苦痛と既に知っている快楽が押し寄せる。
知己は体を起こせずに、ぐちゅぐちゅとした粘液質の音に合わせて、なすすべなく布団越しにくぐもった声が聞こえた。
将之に声を聞かせたくなくて、知己は顔の前の布団を掴んでいる。
「若いだけ。勢いだけ。加減知らないだろうから、ただ無茶苦茶に弄られますよ」
「ぅっ……、ぁ……それっ、ない……っ!」
知己の言葉は、俊也を庇うかのように聞こえた。
むっとした将之が
「痛いだけですよ」
諭すように言う。
知己の話など聞いていない。
「いゃ……、ぁの、な……っ……」
「若者、特に童貞の余裕ない男特有の、とにかくがむしゃらに弄ったら相手もよくなっていると勘違いしているパターンですよ」
言いながら、イライラしているのだろう。
ぐちゅぐちゅとの指の動きに合わせて、抽送の音が激しくなっていた。
「いゃ、痛っ……、お前の想像で……弄るな……ぁっ」
今が、まさにそれ。勝手に妄想して、ひどく乱暴になっていた。
ついでに言うと、俊也が童貞前提の話だ。
俊也は数カ月前に将之と同行していた時にあれだけ知識のなさを露呈している。将之が童貞だと判断したのも、その辺が理由だろう。
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