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「じゃあ、俊也は? 今日はどうした?」
「俊ちゃんは残されているよ」
「何っ?!」
(また成績不振の呼び出しか?!)
知己の胃がキリリと痛くなった。
「蓮様の口車に乗って、好き好んで学級委員なんて面倒なものになっちゃったからね。その委員会の会合だって。早く終わったら来るかもだけど、まだ終わってなさそうだよね」
(……そっちか!)
ほっと安堵の息を吐く。
意外と真面目な俊也だ。
「そういや、文化祭の仕事も頑張ってたな」
と知己は思い出した。
「大いなる下心で働いてたけどね」
「うん?」
「ラノさん会いたさに必死だったじゃない」
(そうだった……)
知己は遠い目をした。
「今だって、学級委員は先生と密になれるってことで頑張ってんじゃない」
(そうだった…………………………………)
知己は更に遠くを見つめた。
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