入学式の翌日は 2

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(残念ながら、俺にも分かった)  好きな人のことは、何でも知りたい……と昨夜、将之が言っていた。  知己だってそうだ。 (俺も、将之のことはなんだって知りたいもんな。隠されたら嫌だし、将之のことは俺だけが分かっていたらいいと思うし)  いつだって、その人の最大の理解者という立場に居たいのなら……。  章が、なんでも知っている人物……。 「……敦」 「はあ? 何それ、ブッブー! 違いまーす!」と章は、けたけた笑って誤魔化すかと思っていたが 「はあ? 何それ。…………………………………どこで分かった?」  見たこともない真っ赤な顔して、戸惑っている。ダラダラと汗をかき、凝り固まったような微笑み浮かべ、目は泳いでいた。 (動揺した章を初めて見た……!)  言い当てたことよりも、章の戸惑い顔の方に衝撃を受ける。 「えーっと……」 (なんか調子狂うな)  と思いつつ、知己は 「お前が敦のことなら何でも分かる所……と、なんだかんだで敦を守っている所かな」 「はああああ? 何、それ。守って……とか、そんなことしてない!」  今度はキれ気味だ。 「敦が、例の教師苛めゲームをしながらも傷ついているのに気付いて……お前、とめたかったんだろ? それで俺にとめさせるように仕向けた」 「そんな訳……ない」  という割に、汗がさっきよりも滴り落ちている。 「あとは……、あの広い梅木邸の中の敦の行動をよく知っている所かな」 「だって、それは盗聴器付けているからね」  サムアップし(親指立て)ながらウィンクして答える章に 「それ、犯罪じゃ……なんだ冗談か」  ツッコみかけて、知己は気付いた。 「え? 嘘。なんで冗談だと分かった?」 「お前のその余裕のない顔見たら、誰でも分かる……」  というくらい、章は切羽詰まった顔をしていた。 「う……ん。盗聴器というのはもちろん嘘。  だけど何度も遊びに行っているから、敦ちゃんの部屋の位置は分かってるでしょ。電気点いてたら起きている時間も分かるし、ライン送ったりするから何をしているかも大体知っている……ってか、あー! 悔しい! なんで動揺しちゃったかな、僕。絶対に言い当てられても知らんふりしようと思ったのに……先生の馬鹿正直さが移っちゃったのかも。どーしてくれる?」 「ここで俺の所為にする気か」  理不尽にも睨む章に、知己は呆れていた。
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