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(章と悪徳教師がキス……)
そんなことを敦は言いたくもない。
(もしかしたら服越しに亀頭を触り合いこ……)
俊也の妄想にピンク脳の加筆修正が入っていた。
(更に俊也が来なければ、隣の理科準備室で誰にも邪魔されないようにカギを閉め、章は制服を乱して自ら足を開いて見せつけ、少し恥じらいながらも「ね、見て。さっきのでここ……こんなになっちゃった。……責任取ってよ」と誘って……ぬ、ぬぉぉぉぉぉ!)
「敦ちゃん? ねえ、僕が暴走って?」
(いや、落ち着け。俺……)
妄想しては、勝手に燃え上る。そして(落ち着け、落ち着け)の呪文で鎮火。昨夜からこの繰り返しだ。
(とにかくムカつく!)
と知己を睨んだ。
(あいつに対しての章の懐きようは異常だと思ってたけど、まさかそんな風に思っていたなんて……。そういえば、2日前も俺が具合悪い横で姫抱っこして二人で遊んでいた! 卒業式では『あんな素敵な将之さんに会わせたら、お尻がウルトラライトな先生が好きになっちゃう』と邪魔しようとしてた! あ、将之さんと言えば、2月には二人で示し合わせてこっそりデートしてた……!)
遡ること1年前、震源地ゲームだってそうだ。
(悪徳教師と会ってから、「もう僕はやめるね」とろくな理由も言わずに早々に手を引いた。そればかりか、俊也が「なぜか章はあいつにヒント出してた。あ、言っておくが俺は絶対に出してないぞ」と顔色悪く言っていたな。
……考えたら、思い当たることだらけだー!)
章と知己・熱愛疑惑に囚われた敦は、章の質問に丁寧に答えてやる気など毛頭なかった。
敦は
「……胸に手を当てて、よく考えろ」
すげなくそれだけ言った。
「胸?」
おもむろに章は隣にいる知己の白衣の上から胸を掴んだ。
「うわ!」
ない胸を掴まれて、持っていたジャガイモを放り出して驚く知己と同時に
「うぎゃーっ!」
敦が思わず叫んでいた。
「……Aカップ?」
章はふざけて知己の胸を揉むような仕草までする。
「そんなにあるわけないだろ」
とツッコみながら知己は章の手を払いのけた。
このなんともナチュラルな二人の御戯れ風景に、敦の脳内は
(……これは、もう、キスの、先まで、絶対に、シたな!)
ドキドキハアハアの桃色タイフーン状態だ。
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