ゲーム 開始 4

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 某探偵漫画のように 「真実はひとつ!」  と、喜んだのもつかの間だった。  次の1-1での授業では、嫌がらせゲームがまだ続いていた。 (え? 終わったんじゃないのか?)  知己はコツを覚え、すぐに首謀者を指名してゲームを終わらせることができたものの、次の授業では、また首謀者がリセットされてゲームは続けられていた。 (3年1組で、俺が首謀者を見つけた話は伝わってないのか?)  だが、3年1組でも同じことだった。今度の首謀者は三浦ではなく、別の者でゲーム続行。 (一体、どういうことだ?)  毎度毎度、首謀者探しをしなくてはならない。以前のように意味も分からず嫌がらせを受けることはないが、数度指名し、そのたびに首謀者探しをするのにも疲れた。  何より終わりが見えないのに、困惑した。 「なぜだ? 何故、終わらない?」  知己が、放課後の理科室でぼやく。 (クロードは当たりを引いて、ゲームを終わらせたと言ってたのに!)  なぜ、知己の時だけゲーム続行になるのか。 (狡くないか?)  理不尽さに涙が出そうだ。 「あははははははー。そんな簡単なゲームじゃないよ。ねえ、俊ちゃん!」  明るく笑う章の横で俊也は 「俺は喋らん」  と眉間に皺を寄せて言う。よほど前回、ネタバレ決定打を出したのが堪えているようだ。 「俺の時だけルール変えてないか?」 「そんなことしない。やってることはアレだけど、みんなちゃんとルールは守っているよ。ルール破りは嫌いでね、そういうの厳しいんだよ」 「じゃあ、なんでだ?! ちゃんといつも首謀者を探して当てているのに、その時は終わっても、次の授業ではまたリセットされている」 「よく考えろって言っただろ?」  章は呆れて言った。 「よく考えて、首謀者見つけに成功したのに」  知己は解せぬ顔を隠せない。 「誰が『首謀者を見つけろ』って言ったよ?」 「え? 違うのか?」  知己が思わず聞き返すと 「ねえ、俊ちゃん」  章は俊也に話を振った。 「俺は喋んねーって」  怪訝な顔して、俊也は答えなかった。 「残念だね。俊ちゃん、教えてくれないってさ」 「あのな……、俺がいつ教えた?」  俊也が不服そうに言う。 (章がそう言うってことは、「首謀者見つけ」のゲームじゃないのか?) 「ほーんと巡り悪いねぇ、先生」  今度ばかりは章の言葉に、俊也も嬉しそうに「うんうん」と頷いていた。 「どのクラスでも首謀者見つけに成功したが、結局終わらなかった……。本当の答えは別だということか」
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