242人が本棚に入れています
本棚に追加
/778ページ
某探偵漫画のように
「真実はひとつ!」
と、喜んだのもつかの間だった。
次の1-1での授業では、嫌がらせゲームがまだ続いていた。
(え? 終わったんじゃないのか?)
知己はコツを覚え、すぐに首謀者を指名してゲームを終わらせることができたものの、次の授業では、また首謀者がリセットされてゲームは続けられていた。
(3年1組で、俺が首謀者を見つけた話は伝わってないのか?)
だが、3年1組でも同じことだった。今度の首謀者は三浦ではなく、別の者でゲーム続行。
(一体、どういうことだ?)
毎度毎度、首謀者探しをしなくてはならない。以前のように意味も分からず嫌がらせを受けることはないが、数度指名し、そのたびに首謀者探しをするのにも疲れた。
何より終わりが見えないのに、困惑した。
「なぜだ? 何故、終わらない?」
知己が、放課後の理科室でぼやく。
(クロードは当たりを引いて、ゲームを終わらせたと言ってたのに!)
なぜ、知己の時だけゲーム続行になるのか。
(狡くないか?)
理不尽さに涙が出そうだ。
「あははははははー。そんな簡単なゲームじゃないよ。ねえ、俊ちゃん!」
明るく笑う章の横で俊也は
「俺は喋らん」
と眉間に皺を寄せて言う。よほど前回、ネタバレ決定打を出したのが堪えているようだ。
「俺の時だけルール変えてないか?」
「そんなことしない。やってることはアレだけど、みんなちゃんとルールは守っているよ。ルール破りは嫌いでね、そういうの厳しいんだよ」
「じゃあ、なんでだ?! ちゃんといつも首謀者を探して当てているのに、その時は終わっても、次の授業ではまたリセットされている」
「よく考えろって言っただろ?」
章は呆れて言った。
「よく考えて、首謀者見つけに成功したのに」
知己は解せぬ顔を隠せない。
「誰が『首謀者を見つけろ』って言ったよ?」
「え? 違うのか?」
知己が思わず聞き返すと
「ねえ、俊ちゃん」
章は俊也に話を振った。
「俺は喋んねーって」
怪訝な顔して、俊也は答えなかった。
「残念だね。俊ちゃん、教えてくれないってさ」
「あのな……、俺がいつ教えた?」
俊也が不服そうに言う。
(章がそう言うってことは、「首謀者見つけ」のゲームじゃないのか?)
「ほーんと巡り悪いねぇ、先生」
今度ばかりは章の言葉に、俊也も嬉しそうに「うんうん」と頷いていた。
「どのクラスでも首謀者見つけに成功したが、結局終わらなかった……。本当の答えは別だということか」
最初のコメントを投稿しよう!