その後の敦 4

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「あいつ、俺のことを【悪徳教師】といつも罵っているぞ」 『敦ちゃん、お臍曲がっているから。カップルが二人で飲む用のトロピカルジュースのストローか、ジェットコースターかってくらいに曲がっているからね。照れているんだよ』 「どんな照れ方だよ?」  それに敦の臍が気持ち悪い形状にされている。 「しかも全然、俺のいうこときかないぞ」 『大丈夫。敦ちゃんはどの先生の言う事も聞かないよ』 「それ、全然大丈夫じゃないからな!」  章が語るのは、敦の自由さ奔放さ傲慢さの暴露であった。 『そう言えば、以前喪女が学校に来た時に、僕、先生に会わせないよう画策したんだけど』 「そんなことしたの?」 『うん。卒業式の時』 「あ。確かにお前ら、教室を抜け出したな」  喪女=前田千寿のことである。 (前田君……ラノさんに会いたがっていたのに、この子達に邪魔されたんだ。可哀そうに)  実際に教育委員会来賓として居たのは将之であったが。 『俊ちゃんは分かるよ。ラノさん大好きだから一緒になって邪魔するの。でも敦ちゃんは、関係ないのにわざわざついてきてた! そっか。実は先生のことを気にしてたんだ』  なにげに酷い章の発言だった。 「……それ、敦だけ()(もの)にするなよ。章と俊也が抜けだしたから、敦も面白がって一緒に抜け出しただけだろ……?」  そこに将之が 「章君と先輩が不純同性交遊しそうになった時も、僕と一緒になって邪魔しようとしたよね」  章の後押しをするような話をした。 (将之……。お前こそ、高校生と一緒になって何やってんだ?)  熱く語りかける将之を見る知己の目が、残念なものを見る目になっていた。 「先輩が君とホテル行くってなった時に【ぬわにぃっ!?】て謎の日本語で、すごく取り乱してたよ! ……っ、むぐぐぅぅ!」 (もう、将之まで章の火に余計な油を注ぐなー!)  たまりかねた知己が将之にヘッドロック(※)をかけた。  再び聞こえてきた将之のくぐもった声に、すかさず章が 『そこのばカップル、いちゃつかない! リア充、爆発しろって言っちゃうぞ!』 「い、いちゃついてねー!」  またもや章に見られたかのようなツッコミを受けて、知己は慌てて将之から離れた。だが、「ばカップル」と認めてしまったようなものだ。 ※ヘッドロック・・・脇に相手の頭を抱え込んで動けなくするプロレスの技。
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