242人が本棚に入れています
本棚に追加
/778ページ
「……じゃあ布越しに亀頭撫では?」
「はあ?」
章が訊き返した。
「お前が『ねえ、触って』とねだって、『そう……先生、上手……そこ、んっ、強く……そ、あ、ぁぁっ!』みたいな」
「ちょっとちょっと、敦ちゃん、とまって止まって!」
滔々と淀みなく感情込めて語る敦を、慌てて章が止めた。
「敦ちゃんのどピンクな妄想に、知能幼稚園児の俊ちゃんが付いていけずに、頭から湯気出して倒れそうになっているから。しかも、先生なんか貧血起こしたみたいに座り込んでいるし」
俊也は真っ赤になったもののかろうじて立ち尽くしていた。知己はへなへなと教卓の裏側に座りこんでいた。
「亀頭撫でって、またそれ? 将之さんの影響って、いい意味でも悪い意味でもいつまでも残るなぁ」
昨夜将之の影響受けまくった章が言うのだから、異常に説得力がある。
「ごまかすな。したのか? してないのか?」
煮え切らない章の態度に、敦が苛立っていた。
「もー、よく考えて。俊ちゃんも言ったじゃない。『教卓挟んで』僕らは話してたんだよ。教卓が邪魔で、そんな魅惑の触りっこ、したくてもできないよ。ホラ、先生。ちょっとこの前の位置に立ってみてよ」
「『したい』とか言うな……」
たまりかねて知己が突っ込むと
「ものの例えでしょ。気にせず、さっさと立って協力!」
強引刑事長の章に言われ、知己は先ほどのダメージが抜けきれずに、それでもヨロヨロと立ち上がって、教卓の前に立って実況見分に応じた。
「……本当だ」
敦が呟いた。
俊也も頷く。
まさに今の位置がそうである。
章と知己は教卓を挟んでいる。
教卓が邪魔で、お互いの体に触れることはできない。
「俊也!」
敦は俊也を睨んだ。
「な、なんだよ。だって、その後帰る前に章はトイレに行ったんだぞ。スッキリした顔して出てきたぞ」
「章!?」
と今度は章を睨む。
「帰るのに小一時間かかるから、その前にトイレ行っとくのに何の不思議があるの? ただの生理現象。えっちな意味じゃなくて出すもの出せて、スッキリするのはヒトの性だよね?」
と章に言われ、敦はまたもや俊也を睨んだ。
最初のコメントを投稿しよう!