ゲーム 開始 4

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 9クラス中8クラスは、首謀者のすげ替えがすぐにできない。  首謀者を任命する者が、そこには居ないから。  だが、首謀者を任命するものがいるクラスは、次々と首謀者を替えて嫌がらせを続けることができるのだ。  是とも非とも言わない代わりに、たまらず叫んだのは俊也だった。 「ああああ、章! お前、また教えやがって」 「だーかーらー、俊ちゃんがそう言って確定するようなこと言うから、先生は分かっちゃうんだってば」  思わず俊也は自分の口を両手で押さえてしまったが、すぐに 「俺が悪いのかー!?」  反撃に転じた。 「そうだよぉ」  詰め寄る俊也を意に介せず、章はけろりと言って相手にしなかった。  二人の、主に俊也のいささか騒がしいやりとりをよそに知己は思案に暮れていた。  確かに、いくら首謀者らしき者を当てても嫌がらせが収まらなかったクラスがある。  2年3組。  知己の担当で、吹山章、須々木俊也が在籍するクラスだ。  2年3組だけはゲームがいつまでも終わらずに、知己は (あれ? こいつが首謀者じゃなかったのか?)  自分の観察間違いだと思っていた。  だが、首謀者をコロコロと変えていたのなら話は別だ。  八旗高校全9クラスの首謀者任命権をもつ者。 (きっと、そいつを当てれば本当にゲームは終わる)  明日の授業の準備は済んだ。  教科書をガサガサとカバンに詰め込む。  知己の意気込みはハンパない。 (……と、思うんだけど)  これまでさんざんな目に遭ってきた知己は、意気込みとは逆にほんの少し弱気な確信だった。
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