慶秀大学海浜研究所 1

1/5

242人が本棚に入れています
本棚に追加
/778ページ

慶秀大学海浜研究所 1

「うわ! 本当に来たよ」 「……その言い方、腹が立つんだが」 「あの性格の悪いオッサンが、よく許したな」 「その言い方も腹が立つ」  波の音を遠く聞きながら、知己は門脇を睨んだ。 「大体、お前が言い出さなきゃこんなことにはならなかったんだろ? それなのに、その言いぐさ。一体、お前は俺をどうしたんだ?」  知己に詰め寄られ 「そ、そんなこと……」  門脇は、急に声のトーンを落とした。 「……菊池や家永先生のいる前で言っていいのかよ?」  その瞬間、脊髄反射レベルの反応で知己が門脇の襟首を掴んで締め上げた。 「うぎゃー! ギブギブ!」  嬉しそうに叫ぶ門脇の隣で、菊池と家永が 「世界広しと言えど、門脇の首を絞めて無事でいられるのは先生だけだと俺は思うなー」 「平野に締め上げられて嬉しそうにしやがって……、エムか? 説得力に欠ける」  と各々の感想を語るだけで、決して止めようとはしなかった。
/778ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加