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慶秀大学海浜研究所 1
「うわ! 本当に来たよ」
「……その言い方、腹が立つんだが」
「あの性格の悪いオッサンが、よく許したな」
「その言い方も腹が立つ」
波の音を遠く聞きながら、知己は門脇を睨んだ。
「大体、お前が言い出さなきゃこんなことにはならなかったんだろ? それなのに、その言いぐさ。一体、お前は俺をどうしたんだ?」
知己に詰め寄られ
「そ、そんなこと……」
門脇は、急に声のトーンを落とした。
「……菊池や家永先生のいる前で言っていいのかよ?」
その瞬間、脊髄反射レベルの反応で知己が門脇の襟首を掴んで締め上げた。
「うぎゃー! ギブギブ!」
嬉しそうに叫ぶ門脇の隣で、菊池と家永が
「世界広しと言えど、門脇の首を絞めて無事でいられるのは先生だけだと俺は思うなー」
「平野に締め上げられて嬉しそうにしやがって……、エムか? 説得力に欠ける」
と各々の感想を語るだけで、決して止めようとはしなかった。
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