ゲーム 開始 4

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 だが、いつまで待っても俊也はその続きを言おうとしなかった。  それで 「俊ちゃんも認めたら? 楽になるよ」  章は俊也の顔を下から覗き込みながら、言った。 「何を?」 「あいつのこと。かなり好きだろ?」  ニヤニヤと目を三日月にして笑う。 「はあ?! なんで、そうなる?」 「モルカー好き同志、気が合って……」 「ねえ! そんなの絶対にねえ!」  章の言葉にかぶせて、俊也は否定した。 「ムキになるところが怪しい」 「怪しくない。むしろお前の方だろ? あいつのこと好きになっているの」 「うん。嫌いじゃない」 「それ、ツンデレの上等句じゃねえか」 「あ。多分だけど、俊ちゃん。今、誤字ってるよ」 「え?」 「常套句なんて難しい言葉、俊ちゃんが正しく書けるとは思わないもの」 「うるせぇな! それよりもお前、『嫌いじゃない』ってことは、つまり『好き』ってことだろ?」 「うーん……そうかも」 「急にあっさり認めるなよ!」  肩透かしをくらったようで、俊也は腑に落ちない。 「なんだよ、この前まで『蓮様、蓮様』って言ってたくせに」 「やだな、妬いてんの?」 「妬くか! この自意識過剰!」 「あははー。蓮様も大好きだけど、蓮様は僕の憧れの人だからねー」 「?」  俊也は日本語の文法に悩んだ。 (『蓮様大好きだけど、蓮様は僕のだから』……? どういう意味だ?)
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