慶秀大学海浜研究所 5

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 それを聞きつけた門脇が 「婿に貰う気か? 俺にしとけ!」  と即座に食いついた。 「そこは『やめとけ!』……じゃないんだな、門脇君」  アイスをつつきながら、家永が冷静に突っ込んだ。 (門脇の発言を深堀すると、大変なことになりそうだ)  と思った知己は 「いや、昨今は家事や料理が出来る男子がモテるじゃないか。だから、近藤が菊池のこの姿見たら惚れるんじゃないかと思って」  と呟いた真意だけを伝えた。  近藤大奈とは、菊池の思い人である。 「無理だろ? よく一緒にいるけど、近藤と泊りに行けるほど盛り上がってはいないようだぞ」  門脇が答えた。 「近藤は、この盆に帰省する友達と連日遊ぶ予定らしい」  アイスを食べながら、知己が 「なんで門脇は、そんなに近藤のスケジュールに詳しいんだ?」  ふと浮かんだ素朴な疑問を口にした。 「あー………………………、御前崎に聞いた」  門脇がアイスを食べ終わり、ガラス製の器に小さなスプーンを投げ込むと、チンという涼し気な音を立てた。 (あ。これも深堀したら、ヤバイやつだ)  知己は即座に話題を反らすことにした。 「こ、この添えられているミントが、おしゃれでいいな!」 「おしゃれで添えているわけじゃないと思うぞ」  家永が答える。 「ハミガキの代わりだろ?」  続いて門脇が答え、器のミントを摘まんで食べた。 「そんなことも忘れたのか、平野?」  家永とついでに門脇にちょっと残念な目で見られて、知己は 「……ど忘れしてただけだ」  と門脇と同じようにミントの葉を口に放り込んだ。
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