ゲーム 開始 5

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 残るは (ローラー作戦……か)  主催者が2-3にいることは分かっている。だったら、しらみつぶしに端から順に当てていけば、いつかは主催者を指名できるだろう。  だが、それだと2-3に主催者がいると情報をくれた章と俊也に迷惑が掛かるかもしれない。  時間はかかるが、章達に迷惑がかからぬよう、ローラー作戦をしているのがばれないように、知己はちまちまと当てた生徒をチェックしていた。クラスにいる生徒は30人。化学・生物の授業は週に2時間しかない。今回の首謀者のように人が変わったりこそしないが、それだって全員順に当てていけば……。  長期戦を覚悟で、少しやってみた。  が、 「?」  相手も何かを感じたのか、ゲームを仕掛けない日があった。 (気付かれたか……。主催者を絞らせない気だな……!)  と知己は思った。  やがて季節は5月の後半を迎えた。新学期が始まって約二か月が経つ。  生徒がやってきて 「先生ー。中間も終わったことだし、そろそろ席替えしませんか?」  と言い出した時には、思わず 「ダメだ!」  と叫んで、生徒たちをドンがつくほど引かせてしまった。  その中で、章がゲラゲラと笑い出していた所を見ると、少なくとも章には知己の作戦はバレていたと思われる。 (くそっ!)  章にバレているくらいだ。  もしかすると主催者の差し金で「席替え」を生徒は言い出したのかもしれない。  何にせよ、断る良い理由が見つからずに席替えをしたので、知己がやっていた「こっそりローラー作戦」は見事に水泡と化したのだった。
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