慶秀大学海浜研究所 7

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 菊池は素直に頷いたが、門脇はまだイライラしている。作戦失敗が気に入らないで怒りが収まらないようだ。  腹立ちまぎれに 「菊池ぃ!」  ずぼっと菊池から浮き輪を取り上げ 「ほーら、取ってこーい!」  と、岩から放り投げた。  これはもちろん特訓でも荒療治でもない。  ただの嫌がらせだ。 「あぁーっ!」  浜まで20mはありそうな岩の上で、菊池が哀し気に叫ぶ。 「酷い……」  知己は眉間を押さえた。  リアルジャイアン……健在だ。  浮き輪は波に乗って、どんどん浜に吸い寄せられるかのように遠ざかる。  とても菊池に泳いで取りに行くのは不可能だ。  浮き輪なくして、菊池は戻ることは無理だろう。  門脇を見ると、ニヤリと悪い笑顔を浮かべていた。 「せんせぇ……」  情けない声で菊池が知己に縋る視線を送ると 「……仕方ねえなぁ」  ボソリと呟いて、知己は浮き輪を取りに海に飛び込んだ。
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