中位将之という人物 7

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「じゃあ、もう言っちゃってもいいかな」  むしろ言ってくれと言いたげに、知己は将之を見つめた。 「僕が好きなのは、あなたですよ。家永さんじゃない」  最後のは勘違いしていた知己への嫌味だと分かる。 (だけど、それもこいつだよな)  と、なぜだか嬉しく思えた。 「でないとアメリカから最短15時間、休暇切り上げて、不眠不休で戻ってくるなんてしませんよ。  って、……頭痛は大丈夫ですか?」  どう反応していいのか分からない知己は、ただその場に立ち尽くしている。  酷い頭痛でも引き起こしたかと将之は心配になった。 「う、うん……ぼわんぼわんするけど、多分、そこまでない……みたいだ」  頭をそっと包むかのように手で抱え込んでみたが、前回ほどの強烈な頭痛は起こってないようだ。 「それよりも、俺、両想いってことで喜んでいいのかな?」  確認するように知己が呟く。 「20歳の先輩って、すごく素直で可愛いんですね」 「30歳の俺は、そんなに捻くれてて可愛くないのか?」 「いえ、年を重ねた変化球の愛情表現はそれはそれで可愛いですよ」 「……それ、褒めてないだろ」 「そんなことないですよ」  そう言うと将之は両手を広げた。  ベッドに腰掛け、ウェルカムのポーズだ。  そして意味深に「どうぞ」と微笑んで見せる。 (あ。もう、怒ってない)  知己は嬉しくなった。 (だけど、どうしよう……)  以前はそういう関係にあったとしても、今の将之はまだ会って3日目の人なのだ。 (やはり、ここはに行くべきなんだろうな)  あそこ=将之の膝の上である。 (行くべきだろうけど……俺にはまだハードル高いなぁ)  まごまごと躊躇していると 「どうしました?」  将之に怪訝な顔をされた。 「いや、あの……えーっと」 「以前の先輩は、普通に僕の膝の上に来てましたけど?」 「そう、なの……か?」  とはいえ、好きだと自覚したばかりの将之の膝の上に乗るだなんて、かなり緊張する。 (ハードル高すぎて、棒高跳びのバーのように思えてきた……)
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