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「ま、いっか。むっつりで狡くてエロい准教授さんのイケナイ趣味に付き合っている訳じゃないと分かって安心しましたし」
(……家永ぁ……)
酷い形容詞ばかりが増えている。
「先輩が通常運転でその下着を履いてくれてたのは嬉しいし」
すっかり下着鑑定士と化した将之の発言に
「その下着って……?」
知己が訊くと
「本当に忘れちゃったんですねー」
将之が知己を見上げて言った。
「この下着、元はといえば、僕があなたの誕生日に贈ったからでしょ?」
「え?」
(誕プレに下着って……)
知己が、反応に困る。
(本当に、中位さんって……どういう人だよ?)
「それ以来、これ一択。似たようなのを買い足してくれてるみたいです。僕が『先輩は黒が似合います』と言ったのをちゃんと聞いてくれてて、嬉しかったです……って、あれ? なんか顔色が。大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫」
知己が頭を押さえていた。
「……なんか、それらしきことがあったような気がしないでもないんだけど」
その辺りの記憶は、まだ霞がかったまま。頭痛とまではいかないものの、少しばかり頭が重くなった気がした。
「無茶苦茶、曖昧な言い方ですね」
「……う、ん」
「ま、それでもいいか」
言うなり将之は知己の気にしている黒い下着も下げた。
「ぎゃあぁーーーーー!」
雰囲気もへったくれもない。
「お久しぶりです、先輩」
「いやぁぁぁ! どこに挨拶をしている?!」
「どこにって、ここに」
一切悪びれもせずに、将之は知己の中心を掴むとその先端に軽くキスをした。
「ぎゃああああああああー!」
ひときわ高い知己の悲鳴が上がった。
「へへへへへ変態っ! まだシャワー浴びてないのに!」
知己が涙目になって、どもりながらも抗議するが
「大丈夫ですよ。先輩の汗のいい匂いしかしません」
将之は一向に構わない様子。
というよりも「それが、何か?」的な態度で、こんなことで騒ぐ知己の方がおかしいといわんばかりだ。
「汗がいい匂いだなんて……それが変態だというんだ!」
「変だなぁ。以前の先輩は、シャワー前だのなんだのとそんな些細なことなんて構わずに、僕にしてもらうのを悦んでましたけど?(大嘘)」
「まさか!?」
知己は
(10年後の俺のマニアめぇ!)
と自分自身を罵った。
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