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(落ち着け、落ち着け……これはいつもしてたこと……)
頭の中がグラグラと沸騰しそうだったが、なんとか自分に言い聞かせていた時だった。
(落ち着け……、ん?)
見られていると思われるそこが、生暖かな感触に包まれた。
「ぃ、あぁ……っ!?」
思わず声を上げてしまった。
「嫌……やだ……や、やめ……そんなとこ……っ!」
狼狽えながら制すが、将之がやめる筈もない。
「これも好きでしたよー」
と、背後からしれっとした返事があるだけだった。
「や……ぁっ、本当……、それ……ぁっ」
(落ち着け、落ち着け……。俺、落ち着け……。これは普通。これは当たり前。これはこれは……)
混乱の極みだった知己は、頭の中でただひたすら「これは普通」と自分に言い聞かせるように唱え続けた。だが
「……ぅう、ぁっ、やっ……!」
抑えきれない弱々しい声での抗議はやまない。しかし将之からの返事はなく、ただ湿った音がバスルームに響いていた。
「あ、ぁっ……もっ……!」
(落ち着け………………………)
「……ーー……っ……!」
(……るわけ、ねえーっ!)
やがて知己の抗議の声も消え、ただ、はあはあという荒い呼吸音だけになった。知己はバスタブの縁をあらん限りの力で握りしめて、羞恥に耐えた。
「……よく頑張りましたー」
やがて呑気な将之の労いの声と共に、
「ひぃ……、ゃ、ぁっ!」
今度は指が一本、押し込められた。将之の舌で濡らされたそこは、難なくそれを咥え込んだ。
慣れた行為ではあるが、今の知己にとっては初めてのことだ。痛みはないが、そこに挿れられた感覚を脳が受け入れられない。
「や……やめ……」
ガクガクと腰が揺れる。
「何言ってんですか。指三本は入れさせてもらいますよ。でないと僕のおっきなものを受け入れられないでしょ?」
(え……? これを……3本も……?)
愕然とする知己だったが、確かに言われる通りだとも思った。
全裸を見た時に思わず目がいった将之のもの。あれを受け入れるにはそれなりの準備が必要だと分かる。
(な、なるほど、これは仕方ないのか)
そう思うと、こわばっていた体に力が抜ける。
だが理解はしても、自分の身体の中に他人のものが侵入してくる感覚にはそう簡単には慣れない。
「うぅ……、くっ……」
話しながらも、これはいけると判断されたのだろう。
二本目の指が知己の内部にぬるりと潜り込む。
そぉっと狭路をこじ開けるように中に入ってくる感覚に、知己は必死で耐えた。
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