★中位将之という人物 8

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「その……も、もっと」 「もっと?!」  将之がひときわ嬉しそうに声を上げた。どうやらに取られたらしい。 「そういう意味じゃない!」  ぷいっと知己は視線を外すように前を向いた。 「その……も、もっと優しく……してくれても、いいだろう?」 「変ですね。全力で優しくしてますよ」  心外だと言わんばかりに将之が知己の腰からずらし、その部分をぐいと割り開く。  突然のことに 「ひっ」  色気の欠片もなく知己は慄いた。 「急に挿れたら、痛いのは先輩ですから」  愛おしそうに、そっと触れる。 「焦らず……」 (じっくり?!)  知己の考えを読み取ったのか、将之はすかさず 「いえ。焦らずと優しくしているんですよ。これでも、ね」  と、言い直した。  既に将之の唇も指も触れた所なのに、改めて押し広げられるとたまらなく恥ずかしい。 「ああああ、あんまり見ないでくれ」 「無理ですね。そんなことしたら、見当違いなとこに入れちゃいますよ」 「男の俺には、間違えようないだろ!? あんまり見ないでさっさとしてくれ」 「……まさか、先輩からそんな言葉が聞かれようとは……。二十歳の先輩って大胆だったんですね」  将之が笑いを堪えていた。 「別に、そんな意味では……っ!」 「じゃあ、どんな意味?」  焦る知己のそこに、将之はぴたりと宛がった。 「っ……」 「分かります? 僕ももう限界なんですよ」 「あ……、んんっ……」  ゆっくりと粘液をこすりつけ、時間をかけて押し込める。  言葉通り知己の身体を労わってか、それとも久しぶりにようやく訪れたこの時を楽しんでのことかは分からない。 「僕だって、一カ月も干されてたんですから」 「……っ!」  自分の後ろをゆっくりとこじ開けられるのを感じて、知己は呻いた。
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