★中位将之という人物 8

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「息を止めないで。深く呼吸して」  将之の言葉通りにしようと知己がぎこちなく深呼吸をした。  知己のどこかたどたどしい呼吸に合わせ、将之は狭路を押し進めた。 (久々の先輩、きつぅ……)  指とは比べものにならない質量が押し入ってきた。 「は……、ん……っ……!」 「先輩……、気持ちは分かりますが……も少し、力を抜いて」 (いや、絶対に分かんないだろっ!?) 「ぐ……ぅ……っ……、はぁっ……」  知己の汗がポタポタと伝っては落ちる。 「……今、一番太い部分は入りましたから、後は楽だと思いますよ」 「ぅぅ、ぁっ……!」  じわじわとゆっくり浸食される焦れた感覚に、知己の眉間に皺が寄る。  いっそ最奥まで一気に貫かれる方がいいとさえ思う。  だけど、決してやめてほしいとは思わなかった。 (先輩がこんなにも貪欲に僕を求めてる) 「……っ!」  さっき知己が大きく反応した箇所を狙って、将之が何度も自身のもので擦り上げた。それには 「ゃ……!」  短い律動の合間に吐く呼吸には、どうしても否定の言葉が混ざってしまう。 「嫌じゃないでしょ? ここ」 「んっ……ゃ、そこばっか……!」  一度吐き出していた知己のものが、すっかり勢いを取り戻していた。 「んっ……!」  びくびくと腰がしなる。将之のものを咥えたまま。 「あ、ゃ……、ゃだ……っ……!」 「お湯、まだ張らなくて正解だったかな?」  将之が右手を回して知己のものを掴む。  緩く上下に動かすと、より一層知己の息が上がった。 「……ゃっ……!」 「いい、の間違いでしょ? こんなに深くつながることができるのも、この体位のいいとこですよ。  それにこんなこともできますし」  左手も回し、知己の胸をまさぐる。  見つけた突起に指を絡めた。 「あ……っ」  たじろぐのは一瞬。  それ以上に押し寄せる快楽の波が激しくて、将之の手の動き腰の動きに翻弄されるばかりだ。 「ま……将之……っ、将之っ」  名前を呼んで喘ぐ知己に、将之は 「あざといですね。今、それですか?」  名前を呼ばれて将之は、一層激しく腰を打ちつけた。
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