ゲーム 開始 7

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「でも、何なんです? 先生、卑怯じゃないですか? 分からないからって最後は大声で怒鳴りつけてゲームを強制的に終わらせようだなんて」 (いや、卑怯なの、お前らの方だよね?)  多勢に無勢で、しかも意味の分からない嫌がらせゲームを行い、職員室にまで見張らせるようなことをしておいて、よく言う。 「大体、教師はそうですよね。普段は『ルールを守れ』『規則を守れ』というくせに、都合悪くなると途端に自分のいいようにルールを変える」 「そんなことをしたつもりはない」  耐えきらずに知己が言うと 「今、現在、そうしたじゃないですか」  敦もすかさず応戦する。 「なあ、みんな?」  そして、自分に味方を付けようと、生徒たちの同意を煽った。  これまでになかった教師(知己)の行動に生徒たちが戸惑いながらも、敦の言うことに数名同意し、パラパラと頷いてみせると他の者もそれに倣った。 「それこそ、お前達の都合だろ?」 「はあ? どういう意味ですか?」  惚けた様子の敦。小柄だが、堂々としていて異常なまでに威圧感を与えてくる。 (なんだろ? この威圧感(プレッシャー))  敦の威圧感がどこからくるものか考えつく前に、知己は答えていた。 「ゲームもルールもお前達の都合。教師を巻き込んでいるだけだ。そもそも授業中にすることじゃないだろ? なんでこんなことをしたんだ?」 「面白くないからです」 「何が?」 「授業に決まっている」  吐き捨てるように言う。 「小難しいことをブツブツと一方的に話して。『分からない』と正直に答えれば『こんなことも分からないのか?』みたいな。あんたらの俺達を見下したような顔、見飽きてんですよ」 「そんなことをしたつもりはない」 「したんだよ!」  少年の顔に似合わぬ恫喝だった。
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