三人の新年会

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「1月だろ? センター試験、頑張れよ」 「その点数いかんで俺の進路は決まる。頑張るしかない」  と俊也が言うと 「ミラクル起こすしかないね。あ、でも神託頼みのミラクルペンソーやダウジングはダメだからね」  ずばっと、先に章が俊也の第六感を封印した。  もちろん、俊也にそんなつもりはない。 「俺の成績はメキメキと右肩上がりだぞ。実力でなんとかなるっつーの。以前の俺と違う。シン・トシヤだぞ」  章に感謝するとしたら、メンタル面をとにかく鍛えてくれたことだ。  おかげで緊張とは縁がないほど、俊也は鋼のメンタルに仕上がった。 「右上がりって言っても、俊ちゃんの成績じゃ上がるしかないじゃん。ほぼ最下位だったんだから。あれ以上どうやって下がれっていうの?」  現在進行形で辛辣に鍛えてくれる。  降り注ぐ誹謗中傷の雨に打たれ、まるで滝行でもしているかのような気分になった。 「章、本当にお前は人の心をアイスディッシャーみたいにぐりんぐりん抉る天才だな。俺は試験の点数の話をしているんだ。ライオさんに教わった萌えを点数に変える錬金術(学習法)で、俺の成績は上がりまくりのストップ高だ」  いずれは父親の仕事を継ぎ、梅ノ木グループレストラン部の社長職に就くつもりの俊也は、経営者っぽく知っている株式の言い方をした。 (それ、ストップしちゃダメなんじゃ……)  将来、俊也の上司になるであろう敦は思った。 「ライオさんと言えばさ……」  章がコーラのおかわりを手酌で注ぎながら、思い出していた。 「敦ちゃん、ミスコン優勝おめでとうー!」 「唐突だな」 「ライオさんから今回の文化祭の八旗ミスコンへの発想の飛び方がすげえ。章は源義経か。八艘(発想)跳びか」 「……さっきから俊ちゃんの例えが斬新すぎるんだけど。勉強のし過ぎ?」 「いい感じに仕上がっていると言ってくれ」  不満そうに俊也が言った。
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