ゲーム 開始 7

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「あんたらがそうしてきたから、 『勝手にしゃべったらいいじゃないか』 『俺達を無視して授業したらいいじゃないか』  と思って、退屈しのぎにゲームを始めたんだよ! なんか悪ィかよ?!」  16歳の少年はマスクを外し、怒りを吐き出していた。奇しくも先ほどの知己と同じように。 「……」  なんだか胸が痛い。  この二か月ほど虚しい思いをしてきたが、目の前のこの少年……いや、少年たちは入学してからずっとこんな思いをしてきたんだろうか。もしかしたらもっと前から、かもしれない。  やるせない思いが、知己の胸をしめる。  八旗高校に通う生徒は、中学校まで勉強が苦手な成績下位の生徒が集まっている。多かれ少なかれそういう経験をしてきている。教師だけではなく、成績の良い生徒たちからも、そんな目に遭わされてきたんだろう。 「でも……俺は」  やっと知己が言葉を絞り出した。 「お前たちを軽んじたつもりも、無視したつもりもない」 「何をいまさら……。言い訳としか思えないけど」  取り付く島もない。  敦の完全拒否の態度に、知己はそうせざるを得ないを勝手に想像して、顔を曇らせた。 (ほぼ全校生徒が加担しているってことは、これは梅木敦(うめきあつし)一人の考えじゃないってことだよな)  これまで敦の言うように「俺達を無視して授業」されたんだろう。  だったらこちらからも「無視して」やる。  この頑なな姿勢が、物語っていた。 「あんたの授業は面白くない。勝手にやってろ! なあ、みんな」  そう言って、敦は先ほどと同じように見渡した。
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