共通試験にて

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 知己はここまでの赤裸々な猥談から推察されて 「いっておくが、乗れる相談と乗れない相談があるぞ」  と、あらかじめ釘を刺した。 「乗れない相談って?」 「18歳未満禁止みたいな……」 「ああ……!」  章もピンときたようだ。 「別に今更、男同士のヤり方なんか聞かないよ。知ってる」 (……まあ、夢精までするのなら、やり方は分かっているか) 「それにそんなことを『大好き』くらいで照れる三十路男に聞くまでもない。どうせ、ふわっとしか教えてくれないでしょうし」 「いちいち腹の立つ言い方を」  と知己は言った。 「じゃ、何の相談だ?」 「僕が知りたいのは、それに至るまでのシチュエ―ションだよ」 「……」  もはや、落とす豆もなくなった。 「何をどうしたら、そんなことに及べるシチュにもっていけるの?」 「……はあ」 「『はあ』じゃない! 気の抜けた相槌打ってないで、真剣に聞いてよ。こっちは毎晩『蛇の生殺し』状態なんだからね」 「どういうことだ?」 「僕が大人になって以来、困ったことに2日に1度のペースで、敦ちゃんが夢枕に立つんだ」 (2日に1度なら、毎晩じゃねえじゃないか)  と思ったが、そこはあえてスルーした。 (夢枕に立つ……)  何やら敦が生霊でも飛ばしているかのような、ホラーっぽい話にもなってきた。 「なんか怖いな」  正直に感想を言うと 「なんで? 怖くないよ。だって敦ちゃんだもん。敦ちゃんなんて、可愛いもんでしょ?」  と章が言う。  愛情表現の一環なのだろうが、章の気持ちを知らない人間が聞いたら間違いなく誤解する。 (敦が聞いたら、憤死しそうだ……)  と知己は思った。  そうかと思ったら 「夢の出現率がスライム並みに爆上がり」  今度は雑魚モンスター扱い。 「はあ」  やはり「はあ」しか出てこない。 (章に好かれるって、かなり難儀なことなんだな)  と知己はしみじみと思った。
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