自由登校なのに 3

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(俊也め……!)  おおかた、章がメールを送った直後、自習中にも関わらず即座に敦に知らせたのだろう。敦がここに到着する時刻的に、そんな感じだ。 (……いや)  敦は「これ以上黙って見ていられるか」と言っていた。 (ということは、少し前にここに来て、俺達の話を聞いていたんだな)  と知己は思った。  どうやら章も、それに気付いたらしい。 「……もしかして、敦ちゃん……話聞いてた?」  少し気まずそうに尋ねると、敦は真っ赤な顔してコクンと頷いた。 「あちゃー、……シクった。俊ちゃんにメール送ったら、そうなるよね。なんで気付かなかったんだろ、僕」  章は心の中の声が駄々洩れ状態だった。 「いや、しくじってなんかないぞ、章。むしろ、このまま流れに乗って言ってしまえ」  章の隣にいる知己が、乗りかけた船とばかりにけしかけた。  敦の前だと一切そんな気配を出さないし出さない章が、知己の前で散々本音を語ったのだ。  あれを聞かれていれば、あと一押し。  なんなら(もしかして告白も要らない状況になったのでは?)とさえ思える。 「そっか。前向きにとらえたら、言う手間が省けたよね」  章も心もち笑顔が浮かんでいる。 「いや、こういうことはきちんと自分の口から言え」 「そういうもの?」 「こういう場合はグレーなものを曖昧なままにしちゃダメだ。ちゃんと言葉にして、白黒はっきりさせないと」 「黒になったら嫌だな」 「99%白なんだから、この期に及んで尻込みするなよ。ほら」  と言うと知己は物理的に章の背を押した。 「……何をごちゃごちゃと……お前ら、仲良しか!?」  理科室入口から中に入ろうとしない複雑な表情の喚く敦に、章が 「あの、敦ちゃん……」  と努めて平静装って話しかけた。  奇妙な緊張感があった。
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