ゲーム 開始 7

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 が、すぐに思い直し 「しょ……、吹山ぁ!」  向きを変えて章を呼んだ。 「なあにー?」  先ほどまで幼稚な罵声を浴びせられてたとは、とても思えないほど呑気な返事をする章に 「お前が追いかけろ!」  と知己は言った。 「はあ? なんで僕ぅ?」  いかにも面倒臭げに「お前が追いかけろよ」的に章が言うと 「梅木は『章の馬鹿』って言ってたじゃねえか。お前をご指名だ」  知己は説明した。 「あ、そっかー」  章は納得しつつも、いまだのんびり感が抜けてない。それどころか 「でも、どさくさに紛れて、僕のこと『馬鹿』って言ったー!」  章は知己をからかい始めている。 「あー! 分かった! ごめん、ごめん! だから早く追っかけろ!」  知己は、世界で一番安い「ごめん」を連呼し章を急かした。理科室を飛び出した敦のことが気が気でなかったからだ。 「お前らは、とりま早退扱いにしておくから」 「ん? それって出席ってこと?」 「そうなる!」 「分かった」  章は窓際の席から立ち上がり、いそいそと理科室を横断して廊下へと出た。 「あ、先生ー!」  突如、章が顔をドアからぴょこんと覗かせた。 「まだ居たのか?!」  早く追いかけてほしい知己は、敦を見失うのではと焦った。 「放課後の時間、空けといてねー」  掌をひらひら振りながら、章が言う。 (空けておかなくても、来るくせに)  とは思ったが 「分かってる!」  と短く知己は返事をした。  そして、またもやざわつく理科室に向き直ると 「静まれ! お前ら、今度こそ本当に授業再開だー!」  と知己は叫んだ。
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