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「で、俺たちはまったくの犯人扱い。必死で
『ちゃんと俺達の居たところを調べてくれ』
って言ったけど、
『どうせ掃除した後だろ?』
って取り合ってくれない。
『だったら、今、身体検査してもいい』
って言ったのに
『ごみは自分たちで片付ければバレないし、そう言うってことは、もう捨てた後なんだろ』
ってさ。当然、調べもしなかった」
「理科担は僕たちに言いがかりつけた手前、引っ込みつかなかったんだろうけど、酷いよね」
章が言うと、俊也も頷いて同意していた。
「まあ、証拠不十分で俺達は無罪。停学にも退学にもならなかった。その代わり、新しく校則の追加。ひとけのない所で俺達がたむろっていると悪いことをするからってことで『特別教室棟などでのたむろ行為の禁止』が付け加えられた」
処罰こそ何もなかったけれど、学校や教師のしたそれは無言の「有罪」に感じられた。
「前の理科担は、あくまでも俺達を特別教室棟から追い出したかったんだ。だから、自分の都合いいように校則変えた。
……それで、仕返ししたんだ」
(そちらがそうなら……!)
暗い決意が宿った。
「理科担を三人で襲撃して、剥いて、写真撮っちゃった!」
きゃっと章が言うと
「明るく、すごいことを自白するな」
すかさず知己が突っ込んだ。
しかし
「あの時、爆笑もんだったよなー。理科担、大人のくせに泣いてたし」
悪びれずに俊也も爽やかな笑顔。
こんな時の結束力は大したものだ。
「で、あいつの面白くもないクソ授業、聞きたくないから敦はゲームを考えた。それが『震源地は誰だ』ゲーム改良版!」
(……俺達・教師にとっては、改悪版だよ)
知己は眉間を押さえた。
「小学校でやったことあるから、すぐにみんなルールを分かってくれて協力してくれたんだよね」
続いて章が言う。
「まあ、梅ノ木グループの御曹司に逆らえんだろ」
と誇らしげな俊也に
「梅ノ木グループ?」
知己が訊いた。
「知らない? 交通経営をメインに、ホテル経営、レストラン、デパート、駐車場管理、不動産と幅広く展開中の経営グループ」
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