【DKと知己+将之】

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【DKと知己+将之】

「将之さん、将之さん! 待ってよ!」  来賓用駐車場に向かう将之に、章達が駆け寄る。 「ああ、章君達。卒業、おめでとう」  卒業式の壇上で今年も教育委員会として祝辞をした将之が、式が終わり、委員会に戻ろうとしていた。そこに最後のHRもそこそこに、終わった途端ダッシュをかけた章達がようやく駐車場で追いつくことができた。 「うわ、眩しいー! さすが黒王子だね」  将之が着ると、式用の正装の黒衣もしっとりとして輝いて見えるから不思議だ。 「うん? もしかして、ディスってる?」 「あ、ごめん。ちょっと省略しちゃった。腹黒王子って意味じゃなく、黒衣の王子だねって意味だったんだ」  と訂正する章だが (どうだか。章だもの) (疑わしいもんだな)  言い間違いに見せかけて本音を混ぜているのでは……と、敦と俊也は思っていた。 「……なぜ、お前がここに居る?」  章達の教室からの猛ダッシュを見て、知己も不安に駆られ急いで追いかけてきた。 「おや、先輩まで。生徒との別れを惜しまなくていいんですか?」 「こいつらだけじゃ、何を言い出すか……」  HRを終えても教室に残る生徒には、「名残惜しい者は好きなだけ残っていいぞ」と言って出た。彼らもそんなに学校が好きじゃないから、30分もしないうちに帰り始めるだろう。  むしろ、心配なのは章達の方だ。 「素直じゃないなぁ。……嬉しいくせに。将之さんの所に来たかったくせに」  章が三日月のように目を細めて言った。  そこには100%揶揄う気しかない。 「口を挟むな、章」  と知己が言えば 「おやぁ? それって独占欲丸出しー?」  今度は章の背後霊になっている敦も、顔をひょっこり出して意地の悪い笑顔で言う。 (こいつら……。こういう時だけ、結託しやがって)  ただ俊也だけは、将之に会えて嬉しそうだが知己のこともあって複雑そうな顔をしている。 「いつまでも未練たらたらするんじゃない。AVで我慢するんでしょ?」  章が一喝すると 「お、おぅ」  と俊也が割り切れない表情で返事をするのだった。 「この学校担当の前田君なら、別の高校の来賓として行きました。だから、僕は代打。仕方ないでしょ?」  という割には、全く「仕方ない」感じがしない。どちらかといえば「来たくてたまらなかった」と感じさせる将之の笑顔だ。
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