【DKと知己+将之】

2/8
前へ
/778ページ
次へ
「あの喪女が、よくおとなしくよその高校なんかに行ったな。這ってでも、ここに来たがると思ったが」  超が付くほどのラノラーだと熟知している敦が指摘すると 「泣きながら『チョベリバ―(※1)』とか『末代まで呪ってやるー(※2)』とか、一周まわってやっぱり古いことを言いながら、出かけてったね」  と将之が出張前の前田を思い出し、笑った。 「なぜ、将之(ライオ)さんが呪われる羽目に?」  と俊也が聞くと、 「前田君。じゃんけんに弱いからね。僕に負けて逆恨みしているんだよ。じゃんけんだから仕方ないのにね」  やはり、どう見ても仕方ないとは決して思ってなさそうに将之に 「なんか、あるな……」  知己が心の呟きを言葉にした。 「ここだけの秘密。実は彼女、マジで負けたくない時の一発目は99.9999%(シックスナイン)の確率でグーを出すんですよ」  ぷぷぷーと、とうとう堪えきれずに将之は吹き出した。 「それ、じゃんけんに弱いって言わないんじゃ?」 「それ、仕方ないって言わないんじゃ?」  波状攻撃で章と俊也が次々と突っ込む中、敦だけは将之の言った「99.9999%(シックスナイン)(※3)」の言葉に過剰に反応し、赤い顔して黙り込んだ。 「正直、いつ気付くか、いつ気付くかと楽しみにしているんだけど、まだ、気付いてくれないんだよね」  にこやかに、さもいい人そうに言っているが、裏を返せば、本人が気づくまで教えてあげないと言ってるようなもんだ。 (性格悪いよな、こいつ。それなのに、こいつらの懐きよう……)  何か惹かれ合うものがあるのかもしれないと知己が思っていると、章が 「とりま、将之さんにはちゃんとお礼を言いたかったんだよね。ありがと、敦ちゃんを焚きつけてくれて」  と言い出した。 (※1)チョベリバ:平成の頃に流行った「超ベリーバッド」の略語。類語で「チョベリグ:超ベリーグッド」がある。 (※2)末代まで呪ってやる:呪いの常套句。語源は昭和の怖い映画「八つ墓村」っぽいですが、あまりにもポピュラーになり過ぎて、よく分かりません。 (※3)99.9999%(シックスナイン):察してください。ここで詳しく書いちゃうと運営さんにめっ(# ゚Д゚)されちゃいますので。
/778ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加