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(ああ、もう、本当にこいつらは……)
将之のモテっぷりに、イライラする。
「ばかだね、敦ちゃん。今のは高度な惚気だよ」
一人冷静に章は指摘した。
(こいつだけは通常運転だな)
と思っていると
「それに将之さんは、先生のお尻に敷かれてない。むしろ、お尻に惹かれているんだy……もががっ!」
「……ーっ!!(通常運転が過ぎる!)」
淡々と爆弾発言を落とされて、思わず知己は章の口を塞いだ。
「巧いこと、いうね、章君」
と褒める将之を睨む。
「え? 敷……? 惹……? なんかややこしいな」
俊也がキョトン顔に対し、敦は真っ赤になっている。
(……あ、敦……。もしかして……)
思わず章を見ると
「何? 僕、何も悪いことシテナイヨ」
と白々しく言うのだった。
「まあ将之さんの粋な計らいのおかげで、僕を賭けて、敦ちゃんと先生が熱い戦いを繰り広げてくれて……。これ以上ないいい思いさせてもらえたからね。本当に感謝しているんだ。ありがとう」
(熱い戦い……。女装三本勝負だったけどな)
この場に居る者の中で、それをなんとも苦い思い出にしているのは知己だけだろう。
「いや、僕の方こそ感謝だよ。ケモ耳ラノさんは、あれからしばらくうちでも話題で」
(ええ!? あれ、委員会で話題になってんの?!)
知己は泣きそうになった。
「一部の者は、あの狐ダンスを踊る流行りっぷりだ」
一部の者……つまり、後藤と前田である。
二人で「次の機会にもきっちり踊れるように」と時間を見つけては練習に余念がない。ちょいちょい踊っては、誰かカウンターに来るたびに「すんっ」と仕事モードに入る、を繰り返している。将之は「次の機会なんか絶対に来ないよ」と言っても聞かない。
容易に踊るメンツが想像できて
「教育委員会、暇人の集まりかよ」
例にもれず敦が突っ込んだ。
「つきましては、将之さんには今後も色々と相談に乗っていただきたく」
(どんな相談する気だ?)
不安しかない。
「ケーバン交換というか、友達申請したいんだけど」
と章はスマホを取り出した。
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