243人が本棚に入れています
本棚に追加
ゲーム 終了
「クロード」
17時を過ぎ、章達を家に帰した。
そして知己も帰ろうと、荷物を取りに職員室に行くとまだ教師が数人残っていた。その中にクロードを見つけた。
すべての謎は解けた今なら、クロードも教えてくれるだろう。
そう思って、話しかけた。
「お前は、なんであいつが主催者だと分かったんだ?」
「ただの偶然です」
「は?」
全校生徒三百人程度。
その内の1人を一発で当てる?
そんな幸運、あるのか?
「凄い運だな。クロード、宝くじでも買ったら?」
思わず言えば
「それとこれとは勝手が違うかと」
謎な答えが返ってきた。
「知己のクラスに私好みの艶々黒髪で華奢な体つき。女装したらすこぶる美少女になりそうな可愛子ちゃんいるなと指名したら、リーチ一発ツモでした」
敦のあの分厚いメガネとマスク越しによくぞ見抜いたなと思う。
「……麻雀覚えたのか?」
「ええ。週末ごとに父と母とじいじがやってきて、『ボケ防止』とか『日本語の勉強』とか言いながら私んちでやってます」
クロードの母は、カナダ人である。
「よかったら知己も来ますか?」
「いや、いい。なんか……メンツ余っているみたいだし」
行った記憶はないが、帰った記憶とクロードの部屋は覚えている。
(あのおしゃれな部屋で麻雀って……なんか、合わないな)
「あ、でも麻雀で正しい日本語覚えられないぞ」
「そうでしょうね。母、方角を『東西南北』と言わず『東南西北』って言ってましたから」
そして、クロードが何やら遠い目をした。
最初のコメントを投稿しよう!