御前崎美羽 ミスコンに出る 4

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「門脇君、……白衣が好きなのよ」  美羽がなぜか息をひそめて言った。おそらく、門脇の性癖暴露に繋がらぬよう気遣っているつもりだ。 「え?」  意表を突かれた発言に、菊池も大奈も聞き返した。 「看護師さんしかり、女医さんしかり。男性はみな、白衣好き」  妙に迷いのない発言だが 「……?」  大奈と菊池を完全に沈黙させるのには、十分だった。 「だから私の最終審査の衣装も白衣。これ一択よー!」 「なに、それ、めっちゃ薄い理由!」  菊池より一瞬早く現実に戻ってきた大奈が突っ込む。  が、時既に遅く。 「ちょ、待った! 美羽ー!」  なみいる競争相手(ライバル)たちは、秀でた一芸を更に磨いて出場する。だのに、美羽はただのコスプレではないか。  そんなもので勝ち目があるものか。  大奈が全力で止めるのも聞かず、美羽は最終審査会場・大講堂へと駆け出した。  途中で生協購買部に寄って、理化学学生用の白衣を買って。  最終審査に求められるのは、印象の強さ。  大講堂に特別に設置された100mのランウェイ。  そこを (門脇は白衣が好き!)  妄信と共に美羽は白衣を翻しながら闊歩する。  たどり着いたランウェイの最先端には、運営スタッフに頼んでおいたマイクがあった。  美羽はそのマイクを片手に叫んだ。 「みんなー! 白衣は好きか―!?」  聴衆は 「イエーッ!」  と、お祭り騒ぎで美羽のマイクパフォーマンスに応えた。 「大好きかー?!」 「イエーッ!」 「すっちーよりも好きかー!?」  やや声は小さくなって 「イエーッ!」  だった。
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