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ランウェイから戻った美羽は、舞台袖に駆け付けていた大奈に
「大奈。やばい。私、失敗だったかしら」
と不安そうに話しかけた。
「あんた、今更……。どうしてコスプレだけで最終審査乗り切ろうとか思っちゃったの?」
呆れているが、大奈は密かに
(でもまあ、1年ながら最終審査7人に残ったのは十分な成果だわ。これで門脇君が美羽を意識してくれたら)
とポジティブに思っていた。
ところが美羽は
「意外に会場は、すっちー好きが多かったわ」
と嘆いていた。
「え? そっちの心配?」
美羽の発言に、大奈は途方に暮れるしかなかった。
しかし、世の中には意外に奇妙なことがまかり通ることもある。
今回もそのケースだろう。
すばらしい特技を披露した美女達を押しのけ、颯爽と歩く白衣の美羽は、ある意味強力な印象を与えた。
近藤大奈の予想を大きく裏切り、御前崎美羽は審査員と一部のマニア層の支持を受け、優勝に輝いた。ただ、特集を組んでいたTV局は、才色兼備のミス慶秀大のはずが、美羽のとんでもないマイクパフォーマンスの所為で
「今回のコンテストはちょっと放送できないなぁ」
とお蔵入りを決めたようだったが。
【挿絵】
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=336
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