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知己は、開口一番
「今日の補講はテストをする。これまでの補講のおさらいみたいなもんだ」
テストを告げた。
「うげー、抜き打ちかよ」
章と敦は別段なんともなさそうだが、俊也だけは顔色が変わった。
そして、大切そうに筆箱を握りしめる。
「俊也。言っとくけど、このテストでは『ミラクルペンソー』の使用禁止だからな。預かる。出せ」
「抜き打ちの上、俺の神託受けるのまでも邪魔する気か?」
「こんな時だけ神に頼るな」
「う、うぅ……」
不満げに唸りながらも俊也は筆箱から鉛筆を取り出すと知己に渡した。
「あはは! 何回聞いてもだっさい名前ー!」
俊也の鉛筆を見て笑い出した章に
「お前は今回白紙で出したら、マジ怒る」
知己が釘を刺すと
「ちえー。分かった。今回はちゃんと受ける」
章が素に戻って返事をした。
(こいつ……。今回はって言いやがった……)
いつもは一番文句言いの敦は相変わらず仏頂面だが、今日はそれもなく、しおらしくテストを受ける気でいるようだ。
テストが始まってすぐに俊也が
「あれ? ……神託なしで分かる……」
と呟いた。それを聞きつけて、章は「ぷふっ」と吹き出した。
「こら。テスト中だぞ。私語は慎め」
俊也に注意しつつ、知己は
「真面目に授業受ければ分かるもんなんだよ。俊也達は聞かなさ過ぎ」
と付け加えた。
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