夏休みが来た 2

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「ごめんなさい、平野さん。私、お兄さんから同居人が居るなんて聞いていなかったから、お兄さん以外の人が家に居るとは思わなくて。しかも、まさか全裸(マッパ)で現れるなんて……」  きゃっと礼は顔を隠す。 「だから、絶対に強盗で露出狂の変質者だと慌ててしまって……」 (全裸(マッパ)、言うか?!)  知己は泣きそうになる。 (うっ……。俺としたことが、卿子さん以外の女性に肌を見られるなんて……)  とはいえ、卿子に裸を見せたこともない。 「いいなぁ、礼ちゃん。先輩の聖剣エクスカリバーを見れて」 (それ、いいのか?)  知己は冷汗をかきつつ思う。 「妖刀村正の間違いでしょ?」 「すみません。本当に反省してるから、兄妹して俺の……を剣や刀に例えるのはやめてくれないか?」  耐えかねて知己が言うと 「本当ですよ。同性だからって気を許しすぎの緩みすぎ」  礼が厳しめに突っ込む。 「あ、なんだろ。急に腹が立ってきた。僕の礼ちゃんに、春先の不審者よろしく男性のシンボルを見せちゃったんですね。礼ちゃんの眼を(けが)して……」  それがナニを見せられた娘の通常の家族の発言だろう。 「すまん。急いでいたが故の事故だ」  すかさず知己が謝ったが 「いや、この場合先輩の()なるものだから別に(けが)れたりしていないどころか、見た礼ちゃんが羨ましいというか、迂闊に見せた先輩が憎いというか……。なんだろう、この複雑な思いは。正直、僕は今どうしたらいいのか分からなくなってます」  将之は思ったままを口にした。  言うと多少思考が整理されるとこともあるが、この場合言ったがために更に混乱を招いたようだ。 「だろうな。お前の言っていることが、俺には分からん」  隣の男に心底呆れて言えば 「明るい所では、なかなか拝めませんから。言ってみれば礼ちゃんは貴重な瞬間に立ち会えたわけです。ラッキースケベです。でも、許せません。僕以外に全裸(マッパ)を見せるとは……、後でお仕置きです」 「混乱した末に言うのは、ソレかよ」  平気で際どい話を、実の妹に聞かせる将之の神経が信じられない。 (ああ、今夜は早く寝たかったのに……)  知己はそっと目を伏せた。 【挿絵を上げました】中位礼のイラストはこちらに https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=318
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