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「エントリーナンバー２番は、２年１組、村田亮介君」
村田亮介と言えば、柔道部の期待の星と謳われるがたいの良い男だ。
（とても女装が似合うタイプではないと思っていたが……）
知己が不思議に思っていると、流れてきたのは懐かしいアニソンだった。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
（ん？ この歌は……）
前奏だけでも分かる。
主人公がチョーカーのハートの部分に触れると服が弾け飛んで変身する。このセクシーなシーンで、男子のハートを鷲掴み。女子には、フレールという剣を振るって悪を退ける勇ましさで人気を博した「キューティーバニー」だ。
そのアニメのオープニングソングと共に現れた村田は、アニメのヒロインと同じ服装の上半身は赤のレオタード、下半身は黒のピチピチスポーツスパッツ姿で黄色いロングブーツを履いていた。レオタードの胸元は、先ほどの三浦と同様に大胆に開いている。赤いショートヘアのウィッグにトレードマークのウサ耳カチューシャ。首には、変身アイテムでもあるチョーカー。武器のフレールは段ボール製だった。
ただ体型があまりにもごつい。
柔道で鍛えられた胸筋は、ある意味Bカップ以上ありそうだったが、セクシーとはかけ離れていた。
だが、会場は異常な盛り上がりだった。
（マジか……）
知己が固唾をのんで見守っていると、村田がマイクを持って、美少女アニメの歌を歌い出した。
「♪この頃流行の男の娘～。お尻の小さな男の娘～♪」
ぎゃー！
マジかー！
腹筋崩壊するー！
あちこちで悲鳴とも歓声とも分からない声が上がる。
（クラス代表だから、村田も必死なのだろう）
知己は同情的に思った。
舞台袖だから、ステージ上の村田の表情は分からない。
本人は開き直っているのかノリノリなのか全く判断つかないが、ただ、歌って踊るには男子のレオタードはかなりえぐいとは分かっていた。
「変わるわよー！」
歌い終わって、決めセリフを村田が放った。その直後、
「ふんっ！」
と気合の入った一言と共に、村田が両の拳を引き、自慢の大胸筋をせり出すと、レオタードの赤い部分がぱぁーんと弾けた。
わあ！
同時にかかる、またもやアニソン。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
（この曲は……！）
「世紀末救世主伝説・南斗の拳」のオープニングソングだ。
村田―！
最高ー！
服がビリビリに破れて現れた村田の逞しい大胸筋には、「南斗の拳」の主役同様に南斗十字星が描かれていた。
【挿絵を上げてみました。】関連ページはこちらです。↓
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=438
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