文化祭バトル勃発 7

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「知己もどこかに移動しますか?」  クロードに言われたが、知己は 「そうだな……。俺はできるなら、こんな格好でウロウロしたくないから、いいや」  体育館か、なんなら控室の講堂に戻りたいくらいの気持ちでいた。 「あ、センセーだ!」  体育館から今度は美羽達が出てきた。知己を見つけて、嬉しそうに門脇達4人と取り囲んだ。 「先生が一番きれいだったよ! マジ、綺麗。近くで見ても惚れ惚れしちゃう。どっからどう見ても美人よねぇ。背も高いし、黒のシンプルドレスが似合っているわ。私が男の人だったら、絶対に惚れちゃう」  マシンガントークで知己を褒めまくる美羽だったが、知己は (かつての教え子にこれほど絶賛されても、ちっとも嬉しくねーな……)  またもや視線を宙に彷徨わせるだけだった。 「ねぇねぇ。今日の思い出に一緒に写真撮ろうー!」  無邪気に頼む美羽に (御前崎、GJ!)  門脇が心の中で大きく両手を挙げていた。 「あ。困りますぅ。ミスコン参加者のSNS等へのアップはご遠慮くださーい」  章が知己のマネージャーにでもなったかのように、すかさず釘を刺しに来た。 「そんなことしないわ。大事に保存するだけ」  美羽が言うと、門脇も大奈も頷いていた。 「だったらいいでしょ?」  美羽も、もはや知己にではなく章に許可を求めている。 「うーん。……じゃあ、先生。後で僕とも写真撮ってもらえます?」 「なんで章と……?」  謎の取引を持ち掛けられた。  おそらく、ろくなことに使われまい。  かつての理科担が酷い目に遭わされているのを知っている。章の誘いに迂闊には乗れない。 「だってせっかくだし、僕も文化祭の思い出は欲しいから。その恰好でクラスのみんなと撮ってくださいよ。そうしてくれるんだったら、他の人と写真撮ってもいいですよ」  何故、そうなる。 (クラスの……みんな……。ということは、俺も……?)  俊也が一瞬喜んだように見えた。 (いやいや、見かけはラノさんだけど、中身は先生だし)  いまだに混乱からは抜け出せていないようだ。 「ね、ね。悪いことには使わないから」  知己の気持ちを見透かしてか、章が上目遣いに頼み込む。 「写真くらいいいでしょ? もちろん、私たちもネットにアップなんてしないわ」  近藤大奈も押してくる。  助けてくれそうな卿子は、ステージ終わった途端に「来賓の接待に戻ります」と早々に職員室に引き上げたし、クロードはニヤニヤ笑っているだけでちっとも助けてくれそうにない。  孤立無援の知己は、ただもう頷くしかできなかった。 【挿絵を上げてみました。】関連の4コマはこちら https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=443
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