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「卑怯者め!」
あまりの言い草に、章に慣れている知己もさすがに黙っていられなかった。
「だいたい敦が俺に振られて傷つくタマか?」
「傷つくよ! 例えば『君に好かれるくらいなら、ミジンコに好かれた方がまし』とか」
(酷い!)
「『君ってアオミドロのような人だね』とか言われたら、どう? 傷つくでしょ?」
(悲し過ぎる!)
というか
「いちいち例えがエグい」
と知己は素直な感想を口にした。
「理科の先生向きに例えたんだよ。分かりやすいでしょ?」
鬼の首を取ったかのように章は言うが
(俺限定の言い方なら、敦に響かないのでは……?)
と知己は思った。
だが、微生物と比較されたら敦以前に誰でも傷つくだろう。
「お前……、どうしてそんなに必死なんだ?」
呆れて知己が言えば
「……敦ちゃんが悪いんだ」
ぼそりと章が答える。
「あの子、酷いの。あざといの。先生、知ってた?」
「え? あ、……うん。……なんとなく」
ぶっちゃけ知ってたが、はっきり肯定すると章に悪い気がして微妙な言い方になった。
敦があざといのは、仕様だろう。
自分が恐ろしいほど可愛いのを自覚している。
昨年の女装ではアイドル衣装からセーラー服を着こなし、今年に至っては更に短いショーパン履いて「パリピポ孔明」を歌って踊りまくった。(ちなみに俊也も孔明衣装で踊りまくり、最終的にはフラッシュモブのように体育館にいる者全員が躍り出して、大盛況で終わったのだ。優勝するのは当然だと思われた。)
女子のいない八旗高校で、こうもきゃるんきゃるんの仕草を公開したのだ。おそらく章以外にも敦にハートを鷲掴みにされている者は少なくない。
少女漫画設定もかくやな「メガネを外すと超絶美少女顔」を分厚いレンズの近眼眼鏡で隠しているので、あまり知られていないだけだ。
むしろ章が今、それを話題にする方が意外だ。
「ここんとこずっと一日中一緒に過ごしているでしょ? 寒いから一緒にこたつ入ってゲームしたりゲームしたりするんだけど」
自由登校期間中だし、知己にとやかく言う気はないが
(こいつら、ゲームしかしていねーんだな)
という章と敦の怠惰な毎日は分かった。
「ふざけて、こたつの中で手を繋いだり脚を絡めたりするんだよ。酷くない?」
【おふざけのミリペン絵】文化祭にて【挿絵を上げてみました。】ほぼほぼ同じ絵を置いてます(笑)
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=603
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