御前崎美羽 ミスコンに出る 1

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御前崎美羽 ミスコンに出る 1

 元々は、そんな気などなかった。  そうでなくても、中学くらいから本人の意思を無視して何かと注目される存在で、気恥ずかしさを感じていたのに。  だが、親友の近藤大奈が言ったのだ。 「美羽、ミスコン出てみない」  と。  今日も慶秀大の学食は賑わっている。  そこにでかでかと貼られた「ミス慶秀大コンテスト」のポスターを見て、大奈は御前崎美羽に話を振った。 「やだよ」  即答。 「どうして、急に?」 「美羽なら、いいとこ行きそうだなって思って」  美羽の親友の近藤大奈は、メガネにストレート長髪をハーフアップに結うのが高校時代からのトレードマーク。常に冷静沈着で頭脳明晰。いつも、アイディア豊富で何をさせてもそつない。高校時代から彼女に何度励まされ、助けられたことか。 「私だって興味ないよ」  その大奈が言う事、何か考えがあるのでは……と思わないでもない。 「そう? でもさ自分の彼女が『ミス』だったら、男は嬉しいよね?」  そこで、なぜか二人の昼食に同席していた菊池が赤べこのごとく何度も頭を振る。 「門脇君が、美羽のこと意識してくれるかもと思ってさ」 「そ……なの?」  今度は大奈と二人して赤べこ化して頭を振るものだから、美羽は困惑した。 「それにさ、門脇君を取り戻すなら、もうミスになるっきゃないでしょ?」 (門脇君を取り戻す……!?)  美羽の目に火がともった。  手にしていたサンドイッチとカフェラテを一気に流し込むように食べ終えると 「ちょっとエントリーしてくる!」  鼻息荒く美羽は、期間限定で設置された学食二階のミスコン開催委員会に駆け込むことになったのだった。 【挿絵落書き】 https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=333
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