3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
家に帰って冷蔵庫を開けると、何やら緑色の半透明なプラスチックケースに入ったチョコレートケーキが鎮座していた。
「なあ、この緑の箱なんなん?」
同居中の彼氏に尋ねると、彼氏はソファに寝転がったままこちらに顔だけ向けて、不思議そうな顔をしている。
「みどりぃ?アホ、どう見ても青やろ」
「いやどうみても緑やって。そんなんえぇねん、これが何か聞いてんの」
「潜水艦や」
「潜水艦?」
「おう、食べてえぇで」
「ありがとう……?」
潜水艦と言われてもピンとこず、私はそれを冷蔵庫から出した。箱は確かに青かった。どうやら冷蔵庫の照明によって緑に見えていたらしい。それで、中には確かに潜水艦、の形をしたおそらくザッハトルテが入っていた。
「えらい、ファンシーなケーキやなあ」
「せやなあ」
他人事のように彼氏は呟く。いやあんたが買ってきたんとちゃうんかい。
「ザッハトルテならコーヒー入れようかな。飲む?」
「飲むー」
私はお湯を沸かして、コーヒーメーカーに粉をセットする。そのうちダースベーダーの呼吸みたいな音を立てながら、部屋の中にいい香りを漂わせ始める。
最初のコメントを投稿しよう!